世紀ごとに移り変わる自動車産業の覇権


世の中に車好きは多いと思いますが、私も結構「車」好きです。今はそれほどのめり込んでいないのですが、若い頃は、自動車雑誌をほとんど買って見ていました。“読んでいた”と書かないところが、私の奥ゆかしい所と思ってください。

車好きの気持ちが残っているせいでしょうか?ニュースなどでも自動車会社の話題は、今でも気になります。先ごろ、米ゼネラル・モーターズ(GM)は、保有するスズキの株式を売却することになったというニュースが流れました。昨年提携解消した富士重工業に続く日本の自動車企業との関係見直しです。

GMと言えば、世界最大の自動車メーカーの名をほしいままにしてきました。日本の自動車メーカーにとっても特別な存在でした。中堅メーカーは、ことごとくGMの傘下に入りました。世界的に無名だったスズキやいすゞは、筆頭株主がGMであることで海外での信用を得てきました。トヨタでさえも、北米での現地生産を始める際は、GMとの合弁生産を選んだのです。それだけ大きな存在でしたし、日本のメーカーとの友好関係を忘れないメーカーでもありました。それが、今度は経営危機を迎えているのです。

日米自動車摩擦と言われた時代、アイアコッカの率いるクライスラーが「日本車たたき」を先導し、全米の自動車関連会社や組合が全て日本車に敵愾心を燃やしていたときにも、GMはどちらかと言うと中立を保っていました。今度は、奥田碩日本経団連会長(トヨタ自動車会長)が「GM支援」を口にしています。これまでの自動車産業を引っ張ってきたGMへの尊敬と、かつての恩返しの気持ちがあるのでしょうか?

19世紀は欧州、20世紀には米国、そして今度は日本。環境に配慮した自動車や化石燃料以外の燃料を使う自動車など、21世紀の自動車産業の課題は山積していますが、「世界最大の自動車メーカー」の名を受け継ぐであろうトヨタをはじめとする日本車の各メーカーが、世界の自動車産業をリードする時代がやってきたのです。