ここのところ、「BSE」より「PSE」が話題となっています。
PSEマークは、2001年4月の電気用品安全法の施行に伴って、漏電など安全性に問題がないことが検査で確認された電気用品に表示が義務付けられたものです。法の施行から5年も経っており、新製品には輸入品も含めて、すでに「PSE」と書かれた小さなマークがついています。
問題は、中古品です。テレビや冷蔵庫、洗濯機など身近な生活用品の約260品目は、今度の4月1日からマークがなければ販売できなくなるのです。
リサイクルショップなどにとっては困った問題です。私も、エレクトーンを子どもの学校のバザーに出そうと考えていましたが、もしかしたらこれもできないのかもしれません。
中古品販売業者やその消費者を巻き込んでたいへんな騒動になっています。安全を確認する機器の貸し出しなど経済産業省も準備をしているようですが、全国で100台や200台程度の機器数では、かえって混乱を招きます。
どうも、経済産業省の予測と詰めの甘さ、場当たり的対応に混乱の原因がありそうです。電気用品の安全確保は重要ですが、中古家電の流通にも影響を与えることを十分に認識していなかったのでしょう。
マーク表示の適用は、品目ごとに5年、7年、10年の猶予期間が設けられていましたが、消費者も中古品販売業者にも十分周知されていなかったのです。
問題が判明した後の対応も少々お粗末で、希少価値の高い古い楽器など(ビンテージものと言われるそうですが)に対する音楽家の反対騒ぎが起こったことで、急に楽器類については除外するとしてしまいました。結局は、一貫した対応になっていないことを証明したようなものです。
経済産業省の不徹底な対応を見ると、制度実施はとりあえず見送り、もう少し準備期間をおくなどして対応したほうが良さそうです。
一方で、ちょいと頭にくるのは、昨日の坂本龍一氏の無責任な発言です。かっこつけるのもいい加減にしろ!口で言うだけなら誰でもできるのであって、年齢的にも、著名人としても、あまりにもいい加減な発言で、人間性を疑ってしまいます。
言うことを聞かない人間もいることを示したい趣旨の話をしていましたが、もし中古品の売買が原因で事故が起こったときにも同じように言えるのでしょうか?役人に決められることじゃないとも言っていましたが、もちろんその通りだとしても、安全性への対応をどうするのかという問題になんの提案もなく、自分の都合だけを、著名人である立場を利用して言うのであれば、社会や一般の人々に対して無責任すぎます。
後のほうで、大量消費の問題やものを大事にする話にすり替えていましたが、安全性の確保と中古品売買の問題を、倫理的には反対できない一般論に代えてしまうようなものの考え方は、大人になりきっていないガキの発想です。
国民全体に対して、いかに安全を確保するかの問題の時、反対する場合は事の本質に対しての反論と個人の立場であることからの誠実な態度が必要です。
一部の音楽家ではなく、一般の市民が中古家電を売り買い出来ないことの問題、一方で中古品の安全性を確保し証明する問題、これをどうバランスをとるかが難しいところです。品目によって事細かに対応を変える方法もありますが、分かりにくい複雑な規準は、一般国民にはかえって混乱を招くかもしれません。
私は、PSEを実施しないほうがいいと言っているのではありません。実施を延期して、問題点への無理ない対応をあらためて考えてからでも遅くないと思っているのです。もし自分が著名人だったとしても、少なくとも昨日の坂本氏のような発言の仕方はしないと思います。