とんとんともだち

 今から30年前ぐらい前でしょうか。サトーハチローの詩による「とんとんともだち」という 童謡が流行ったのを覚えていられる方もあるかと思います。
素敵な詩にぴったりのメロディーを、中田喜直さんがつけていらっしゃる名曲です。


 ♪〜とんとんともだち みんなでくにん 
 いっちゃん じろくん さぶちゃん しげぼう 
 ごろやん ろくんぼ ななちん やっちゃんこに きゅうどんどん 
 だれかがしかられた みんなでごめんなさい〜♪

 二番は

 ♪〜だれかがくしゃみした みんながかぜひいた〜♪

 そして三番では

 ♪〜だれかがけがをした みんながべそかいた〜♪……
 なんて温かい歌でしょう!

 この歌が歌われていた頃は、まだ子供の世界に“ほんわかムード”が流れていたような気がします。
 ここに出てくる友だちは、どうやら全員男の子ですね。でもなんで9人?
少年野球のチームでも組んでいたのかしら?
 この歌の雰囲気からは、学校帰りの塾通いなんて、とてもとても考えられません。

 でも、おかしいのは、最初から終りまでの渾然一体とした呼び名の中に、どことなく男の縦社会が垣間見られることです。
 いっちゃん じろくん あたりは、如何にも学校の優等生的な位置づけがちらちら……

 さぶちゃん しげぼう…となると、すこし棚から落ちかかった感じ、理数国は駄目だけれど、体育は抜群だったなんていう、責任のない三男坊、四男坊でしょう。
 ごろやん ろくんぼ はなんでも引き受けてしまう世話役。
 ななちん やっちゃんこ は完全に落ちこぼれ!鼻をたらして、みんなの後を必死に追いかけて走っている子って居ましたよね。

 そして、きゅうどんどん 昔の老舗にいた住み込みの小僧さんです。
 わずかな自由時間を地域の子供たちと共有出来たのは、雇い主のご夫婦の優しい心遣いだったのかもしれません。
 こういう子はきっと勉強が出来たと思います。
 
 今ここまで書いてふっと思いました。
 やっちゃんこは、女の子かも?草野球のマネージャーでしょうか。
 
 きっとドラえもんに出てくるしずかちゃんみたいにかわいい、皆のマドンナかもしれませんね。
 
 月に2、3回行く東京郊外のある町の一角に、小さな公園があります。
 そこを通るとき、決まって目にするのが、ゲートボール風景です。

 ゲートボールのルールは知りませんが、とても格式高く、厳かに試合が進行しているという感じです。
 勿論男女入り混じってですが、何故かそれを目にする時、この「とんとんともだち」が浮かんできます。

 サトーハチローさんが思い描いた子供が、さまざまなプロセスを経て、一線を退いた姿なのでしょうか。
 野球のバットをゲートボールのスティックに持ち替えて……

 号令かけているのは、もちろんいっちゃん。
後片付けは、きゅうどんどん でしょう。そして、要領よく親睦会に行ってしまうのが、さぶちゃん しげぼうかな?

 私の小学校は少人数の男女組でした。だからこの歌を歌うと、どの子にも当てはまる顔が浮かんできます。でも、クラス会も真近だし、公表しないことにしましょう。殴られちゃいますもの!


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