落ちた!!
我が家の2階の階段は、15段あります。最近階段を上る時、よく13段目で足を引っ掛けるようになりました。
私は階段を急いで上がる時に、心の中で「ABC」の歌を歌うという変な癖があります。(序でにもうひとつ、泳いでいる時も何故か、「めだかの学校」の歌が頭の中で響いている、という変な癖もあります)
そこで「L」の時に足をいちだんと高く上げるようにして、この問題をクリアーしました。
何故13番目が「L」なのかと思うでしょう?あの歌は「G」で2拍数えるからなのです。
ここまで読まれた方は、タイトルと合わせて、「ははぁ〜」と成り行きを想像なさったでしょう?
残念でした、外れです!
今日はもっとショッキングな出来事のお話をしますね。
少し前のことになりますけれど、去年の12月6日は父の命日でした。
私に言わせれば、墓参りが趣味ではないかと思ってしまうほど、あの世に義理堅い兄から、お墓参りにいこう、と電話が入りました。
私は3人兄妹弟で、兄と弟に挟まれた一人娘ですが、上と下が男同士、仲良くゴルフや飲み会を楽しんでいることに、いささか嫉妬心を抱いていました。
墓参りとなれば勿論弟も行くに違いなく、私は仲間にいれてくれたことに、欣喜雀躍!
早速夫を誘いましたが、私より更に不信心な夫には、あっさりと振られてしまいました。
そこで、仕事をやめ専業主婦となって、退屈と貧困で死にかけているにちがいない娘を誘いましたら、開口一番「何食べるの?」
実は両親ともに古仏となった今、横浜のお墓参りの帰りに中華料理を食べるのが、私たちの最大の楽しみなのです。まして、娘にとってこのイベントは、自腹を切らないで中華料理が食べられるという又とないチャンスです。
……前置きが長くなりました。いよいよ本題です。
12月6日昼前、京浜急行の駅の階段を5、6段降りたところで、つま先が何かに引っ掛かりました。
後は何が起きたのか、自分でも判りません。せっかちな私はパスネットを出そうと、コートのポケットに手を突っ込んだところでした。そのままの姿勢で3段ほどつんのめり、途中から横向きになって、あとは「まるたんぼう」を転がすように、とどまることを知らずの転落です。

何故か落ち続けている間、私の頭の中では、タン、タン、タン、タン、とマーチが鳴っていました。しかもそれがクレッシェンドで……!
最後の段でコチンとぶつけた頭は、見る間に大きなこぶを形成しました。
上から聞こえてくる「キャー!」という娘の声とともに、落ちるに任せていましたが、その時娘が「あ〜あ、死んじゃったよ」とまことに短絡的な発想を抱いたとあとになって聞いて、さすが我が分身!思考回路が似てる、と思いました。
まさか「やったぁ!」
なんてね……。
その日は、笑いをこらえた兄弟夫妻の配慮で、中華料理はお流れとなり、翌日私は、「オオイ!まだ生きてるかよぉ」という愛情こめた兄の電話と、中華料理を食べ損なった娘の、恨みがましい目に送られて、予定通りネパールに出発しました。
満身打撲の状態で、何故か痣はひとつも出来ず、骨折もしなかったのは、まず第一に厚い肉布団を着ていること、第二に落ちながら体がマーチのリズムを刻んでいたこと、第三には30年間泳ぎ続けて鍛えている筋肉のお陰のような気がします。
後日知ったことですけれど、姪が同じ日に1時間の差で、階段でつまずいて手を骨折していました。
どうやら、あの世の父が、おっちょこちょいの娘と孫の2人に、警告を発したようです。
これを書いてから、何日かして、2月の歌舞伎座公演に行った時のことです。
休憩時間に立って出口へ向かう時、2階座席の階段で、突き出ていた傘に足を取られました。
床が絨毯だったことと、上りだったことで、ことなきを得ましたけれど、
「ッたくもう!」です。でもこれはいささか文句を言いたいですけれど……

日頃の言動からは言う資格ないですよねッ。