♪上を向いて歩こう〜〜♪
私の生活半径のなかに、富士山のビューポイントがいくつかあります。冬の澄み切った空に映える真っ白い富士山は、気持を和ませてくれて、とてもこの季節が待ち望まれます。
残念ながら我が家のまわりを歩いていても、富士山は見えませんけれど、東京の西南部の高台に位置する関係で、ちょっと見通しのよい高い場所からは、冬の晴れている昼間、崇高な姿を拝むことができます。
お正月から大寒波が襲来して、一枚余分に雪の布団を掛けたのでしょうか。今年の富士山は例年よりも心なしか大きく見えるようです。青い空にくっきりとした姿はなんと美しいのでしょう。
話は変わりますけれど、私は雪ならぬ肉の布団を、標準より多くかけているために、最近背中の盛り上がりが気にかかり始めました。思い出したように、鏡を見ては背筋を伸ばしたりしますけれど、気がつくと何となく前かがみになっているのです。
ある日、家の近くの道すがら、背中を伸ばしてふと空を見上げると、雲ひとつない青い空で、銀色の米粒のような飛行機が、くっきりとした飛行機雲を描きながら天空に姿を消して行きました。
あまりの美しさに立ち止まり、眺めているところに一人のご婦人が通りかかりました。その方は俯いて、何か考え事をしながら歩いていられます。思わず私はその方に声を掛けました。
「飛行機雲がきれいですよ」
我に返ったようにその方は空を見上げ、「まあ、ほんとうに」
そして思い出したように背中をとんとんと叩きました。
ちょっとの間、私は見知らぬその方と空を眺めていました。
羽田の飛行場からそれほど遠くない私の町で、こんなに高いところを飛ぶのは、東京を素通りしていく便に違いありません。ひょっとして北海道から沖縄に向かっているのかしら?それとも、何年か前にアラスカに行った時乗ったように、アンカレッジとソウルを結ぶラインかしら?それにしてもあの高いところで大勢の人が椅子に座っている様子を想像すると、なんだかとても滑稽に見えて思わず吹きだしそうになります。
話しが逸れてしまいました。私は富士という山はもとより、
♪あ〜たまをくもの うえにだし〜〜♪
という「富士山」の歌がこれまた大好きです。「君が代」がいけないならこの歌を国歌にしたら?とまで、思っているのですけど・・・・・・
でも最近知ったのですが、こんな名曲を今の小学校では教えていないのですね。
冬のある日、デーホームで地元の小学生たちと出会いました。皆、ソプラノリコーダーを持ってきて、見事な演奏を聴かせてくれたのですけれど、そのあとで皆で一緒に歌いましょう、という事になったとき、私が引っ張り出した「富士山」の歌を知らない小学生たちは、首をかしげて、口を開きませんでした。
小学校の授業でこの歌を歌って欲しい、と今、私は切実に考えています。
またまた話が逆行しますけれど、ある年ネパールに行くのに、関空から上海経由で行ったことがありましたが、その時乗った飛行機が、富士山の真上を通過しました。これはよほどの好気流で、パイロットが(中国の飛行機でしたが)サービス精神旺盛だったのでしょうか。
それにしても真下でぽかんと口を開けた富士……あんな間抜けな山の姿を見たのは初めてです。
皆のアイドルだった坂本九ちゃんが、富士山の上空で散ってから、何年になるでしょうか。
早すぎる死は悲しいけれど、♪上を向いて歩こう〜〜♪ と素晴らしいメッセージを残して逝った彼の心に応えるように、空を見上げて前向きに生きていこうではありませんか。
この富士山の写真は、友人の宮川和雄・康子夫妻の撮られたスナップです。宮川夫妻は、日帰りで関東一円を走り回る遊び上手なカップルです。





