ナガルコットから見たヒマラヤの朝焼け



        ネパール人との付き合い方 その1
          
           イミグレーションの巻 

 国に依ってその国民性はさまざまですけれど、ネパール人ほどちゃらんぽらんな人間はいないような気がします。
 ネパールに行った時、空港のイミグレーションでそれが立証されます。

 最近になって、空港の設備がやっと完成に近づいたので、そのシステムもだいぶ定着してきたとはいえ、システムが行くたびに変わっているのです。
 ある年は、まず銀行の窓口で30ドル払って(これは現地到着後ビザを取得するため)次の窓口でビザを申請、証明書を貰って、それからやっとウイズアウトビザの行列に並ばされました。また、次回に行った時はそのつもりで銀行の窓口に行ったら、そんな必要はなく、直接ビザのない人のための列へ……といった具合です。
 並んでいると、ホチキスを持ったおじさんが回ってきます。これは、ビザ申請用紙に写真を貼りつけていない人の写真を留めるためです。他の国では考えられないことですよね。みていると写真の顔のどまんなかにパチンと留めてしまいます。あれれ、痛そう!

 やっと番がまわってくるまで、30分以上たっぷりと時間をかけて、のろのろ……。
 「ナマステ」とこちらも愛嬌をふりまくと書類をみてにやり、「ハーイ!キミコサンイラッシャーイ。最後にきたのはいつ?」と、パスポートを見ながら聞きますので、これは覚えておかなくてはなりません。
「えーと、去年の2月」おじさんパスポートをみて「うん」判っている事聞かないでさっさとやってよ、と言いたくなります。

 あるとき事務が済んだのに、私の係りだったオジサンが書類をそのままに、どこかに行ってしまいました。
「メロ ラハダニ ディノス(わたしのパスポートください)」と、覚えたてのネパール語でいうと、あれ?という顔で、もう一人がそこらを探しています。

 ネパール情勢が悪くなって、日本も外務省が危険地域指定と旅行自粛勧告を出したために、観光客が激減しているそうです。したがって空港はガラガラ状態!

 例年だったらなかなか取れない、帰りのバンコク行きのレフトウィンドウシート(帰りにヒマラヤを見るため)も、難なく取れました。そして出国審査、カウンターは私たちの仲間3人のほかは誰も居ませんでした。
 私の番になると、オジサンなにやら難しい顔をして通りがかりの係員にひそひそ……。
 私は何もやましいことはないので、オジサンの顔を見ていると、むこうもこちらをじっと見ます。
だるまさんのにらめっこは30秒も続いたかしら?

 そして、「何のためにこんなにちょいちょい来るの?」
     「ネパールの学校の子供に日本の歌を教えてるの」
     「じゃあ、歌ってみて」
     「え、ここで?」……

 空港で歌を歌ったのは、初めてでした。小さな声ながら、がらんとしたカウンターホールで1人のお客さんのための音楽会です。
 ここでコンサートやったら気分いいだろうな、とふっと思いました。

 そして飛行機に乗ってから、考えました。あれは何だったのだろう、もしかしたら麻薬の運び屋と思われたのかな?それほど今のネパール空港は空いていて、係員は退屈しています。

 ことほどさように、カトマンズの市民は、以前と変わりなく日常生活を送っているようです。今がチャンスです。美しいヒマラヤを見に行きませんか。
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