乗り物人間模様

 最近はバスを利用することが多くなりました。スペースが
狭いぶん色々な情景を垣間見ることが出来ます。
 いつだったかバスに乗る時パスを見せたら、運転手さん
そっぽを向いていて、見てくれませんでした。
 
 そして、座った途端、「お客さん、お金払ってくださいよ」
 「今パス見せましたけど…」
 「見てませんよ」ちなみに私はシルバーパスです。
 もう一度運転席に見せにいくと、私の顔とパスを見比べて、
またそっぽを向きました。
 「いいですね」…運転手の顔がかすかに前に動きました。

 また或る日、同じ会社のバスで、始発停留場から乗るとき、運転手さんが席を外していたので、私はパスを機械に通しました。戻ってきた運転手さん、
 「見せるだけでいいんですよ」
 「ダッテアナタ、イナカッタジャナイノ」
……これは心の中のつぶやきです。

 雨の日停留場でバスを待っていたら、4歳ぐらいの女の子がお母さんの携帯電話で遊んでいます。
 お母さんが「返して」というと女の子は言うことを聞かず、再三言われると水溜りの中に投げました。
そしてバスの後部座席でお母さんの前に乗った子が言った言葉に、私は仰天しました。
 
「今の私の気持はお母さんを殺したい」
そして、ず〜っと傘の先をお母さんに向けていました。
 
 途中の停留場で降りたとき、お母さんが傘を差しかけているのを見て、すこしほっとしました。
でもこの子の将来を思うと、胸が痛くなります。

 思わず噴き出してしまったエピソードがあります。
まだバスがロングシートだったずっと前のことですが、
乗ったバスは満席でした。
 本を抱えた老紳士が乗ってきて、わずか10センチの
隙間を見つけるとなんのためらいもなく割り込んで、
一人のお嬢さんの膝に座ってしまいました。
 思わずギャッと叫んだお嬢さんが立ち上がると、
そのジェントルマン氏すまして空いたスペースに座り
横文字の本を開きました。
 車内には声のない爆笑が広がりました。

 私の乗る私鉄の車掌さんはおせっかい焼きです。
わずか10分のあいだ喋りっぱなし!

「ご乗車有難うございます……カーブです、おつかまりください……傘など忘れないで……
足を組んだり出したりすると周りの人に……ドアに手をつかないで……携帯はマナーモードになってますか?……この先揺れます……優先席はゆずって……車内で不審なものを見つけたら、もよりの係員に……
(そんなこといっても、係員なんて、車内はおろか、駅のホームにだっていやしません)……

 「次は○○駅〜〜失礼しました△△駅です」
おっちょこちょいめ!反対方向に走っていると勘違いしています……

 そんな中でご忠告はどこ吹く風、優先席に横座りにすわったおにいさん、
足を投げ出して携帯メールに夢中です。

 そして……「終点です、傘など忘れないで……順番にすいたドアから…………お早く……」

 電車に乗るのって体力消耗しますねぇ!
 もしかして日本の管理社会構造の元祖は電車会社かも!


 余談ですが、乗り物関連でもうひと言、もと鉄道技師のわが夫は、去年の福知山線の事故は「脱線転覆」でなく、「転覆脱線」だとつぶやき……いえ、わめき続けておりますです。

これも乗り物。今年も何とかして
二人で滑りに(転びに?)行きたいです