すこし前のお話です。
長年頼んでいた植木屋さんが亡くなって、2代目に引き継が
れました。
でもその息子さんも糖尿病で働けなくなり我が家の庭は八重
むぐらと化してしましました。
10年前に植えた金木犀は、2階の窓から鑑賞できるほどになっ
て、数本の椿も毒蛾の餌食です。
もはや抛っておくわけにもいかず、夫は枝おろしに余念がありません。
もともとその植木屋さんは我が家の周りをテりトリーとしていたので、ご近所でも困っているお宅が多かったと思われます。
そんな折、お隣のお宅が、新しい植木屋さんを見つけてきて紹介して下さいました。
現れた人は、着るものを変えたら大学の教壇に立っても不自然ではない風貌です。
早速仕事に取り掛かった手際は見事でした。
助手のおじさんも、無駄なく仕事を進めていきます。
時々、「旦那しょうがないなあ、こんな切り方をしちゃって!」という声が聞こえてきて、私も常々そう思っていたので、(まったくねえ)と心の中で同感しながら、楽しく見物させてもらいました。
そうして、3日はかかると思っていた10数本の木が、1日半できれいに姿を変えました。今まで木に隠れて見えなかったお隣が丸見えです(お隣からというべきかな)。
余談ですが、子供の時私がなりたかった職業が3つあります。
ペンキ屋、瀬戸物屋、そしてもっともなりたかったのが植木屋です。
どうしたらあんなに美しく木を変身させられるのかと、植木屋さんの「こうさん」のあとを追っかけて歩いていました。
そして、身辺が限りなくだらしなく、しょっちゅう物を探していた私なのに、庭掃除だけは大好きで暇さえあれば箒を持って家の周りを一日歩いて回っていたものです。
三つ子の魂百まで、とは名言ですね。新しく来た植木屋さんによって、昔の夢がまた蘇ってきました。
私が若かったら、弟子入りを申し出ていたかもしれません。
…さて、数日たって植木屋さんから達筆なお礼状が届きました。
「3年掛かって美しい庭を作ります」、と書いてあります。
なんという自信!これぞプロというべきでしょう。
そして、床屋さんに行ったあとの坊主頭のように、少し切りすぎかな?と思っていた木が、1週間後に見事な枝振りの予感を感じさせ始めました。
折も折とて、日銀総裁が「私はファンドは素人でして」と信じられないご発言です。
政治屋さんも派閥と2世の氾濫で、とてもとても……。
あの人たちのプライドはどこに行ってしまったのかな?と思ってしまいます。
テレビをつければ今日も調子はずれな歌が臆面もなくといった感じで垂れ流しです。
そんななかで、3年後の我が家の木たちの姿がいまからとても楽しみです。




