え!ご用は何?
ネパールでのお話です。山のホテルの昼下がり、のんびりと
テラスで本を読んでいると、遠くからヘリコプターの爆音が近
づいてきました。
軍隊が、マオイストの仕掛けた爆弾を探して爆破するという、
いつもの作業かと思って気にもしないでいると、ヘリコプターは
みるみる姿を現して、超低空飛行で、まっすぐに飛んでくるでは
ありませんか。
ひたすら標的を私に向けて……!!
とっさに部屋にはいろうと思いましたが、なんだか凍り付いてしまい、私はそのまま、椅子から立ち上がることが出来ませんでした。
〜やられる〜〜
そう思った瞬間、ヘリコプターは、機首を左に向けてホテルの庭に降りました。
たださえ退屈していたのですから、見逃す手はありません。本を放り投げた私は手元のカメラを片手に部屋を飛び出しました。
ロビーに駆けつけると、ヘリコプターから出てきた兵隊さんが向かった先は、なんと、トイレ!
5分後、すました顔をして出てきた彼は、誰にも声を掛けず、そのまま何事もなかったように、また飛んで行ってしまいました。
ホテルのスタッフも、誰も知らん顔です。なんだか声を掛けては悪いような雰囲気でした。
別の日、同じホテルで又ヘリコプターが降り立ちましたが、これはあるお金持ちが、お茶を飲みにきたとか……
最近跋扈するマオイストの強盗の話から、ヘリコプターで現地に行けば途中の心配がないのではないかしら、と言いましたら、あるネパール人から、「そんなことしたら、大金持ちだと思われて、現地で身ぐるみはがされちゃうよ」といわれました。
ヒンズー教のカーストのお話しをしようと思いましたが、すっかり逸れてしまいました。
ネパールではいまだに厳然とカーストが存在しており、違うカースト同士の結婚さえ許されていないそうです。
ヘリコプターでホテルに立ち寄る、というのも、身分制度といささか関係あるかもしれません。
ホテルの庭に降りたヘリ
ヒマラヤがきれいでしょう?
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