先週のデイケアサービスの最後の歌は、リクエストによって「365歩のマーチ」でした。
帰り道もまだ、頭のなかで踊っているこのメロディを楽しみながら歩いていて、ふと気が付くと、歩調が歌に合っています。
本来少々負担を感じる坂道も、リズムに合わせていると、どうということもないのですね。
我が家の周りは坂道だらけ!だから毎日の買い物の帰りの上り坂を、頭の中でメロディを刻みながら歩く癖が身についているのです。
だから今日もワンツー・ワンツーです。
そして、この場合はワタクシ的に「One two, one two」ではなくて、ワンツー・ワンツーでなければならないのですよね。
坂を上りきったところに踏み切りがあります。
待たずに渡れる確率は30%というほど、ひっきりなしに電車が通過します。
だから坂を昇っている途中で、必ずといっていいくらい警報機が鳴るのです。
そしてそれが聴こえたとたんに、私のリズムはワンツー・ワンツーから、警報機のカンカン……のリズムに切り替わります。
もともと人通りの少ない住宅地の中ですけれど、その少ない通行人の殆ど全員が、遮断機のリズムに合わせて歩いているのです。
思わず笑っちゃったのは、踏み切り際の小学校の外を掃いていた人の箒の動きが、カンカンカン……にぴったり合っていたことでした。
こういう時、なんだかその人に話しかけたいような親しみを感じてしまいます。
でも、なんて話しかけるんでしょうかしらね。だから
「あなた警報機のリズムにぴったんこよ、気が付いてる?」
なんて心の中でつぶやいて黙って通りすぎてしまいます。
最近は、近所のパチンコ屋さんでの軍艦マーチがすたれたのでしょうか、この曲を聞かなくなりましたけれど、これは迫力があります。
なにしろ、休日にはごたごたと人の流れの多い中でのこのマーチが、完全に人の動きを支配してしまうのですから……。
なんだか金成日様の誕生日とか、戦時中のナチを思い出してしまいます。
もちろん日本の海軍さんは言うに及ばずですよね。
この音楽の魔術にそそのかされて、南の島で玉砕した若者たちは、いささかも疑問を感じなかったのでしょうか。
考えると、なんだか涙がでそうです。
話を現代に戻しますが、何回か前までの、オリンピックの開会式で、世界中の多くの国の選手は、てれてれ…、という感じで入場してくるのに対して、日本人の選手団は、音楽に合わせてリズミカルな行進をしていました。
これって、日本人の風土的性格なんでしょうか。
それとも、どこの国の人でも、起こり得る現象かしら?
考えすぎかもしれないけれど、ちょっぴり日本人の特質というようなものを感じたのを覚えています。
今では日本選手団もてれてれ……スタイルに切り替わって、なんとなくほっとしています。
これも考えすぎでしょうか、でもどこか、あの第2次大戦中の日本を彷彿とさせるものがあるのです。
さてさて、一年のなんと早いこと!またまもなく、街でジングルベルが溢れでる季節がやってきます。
そして、私もジングルベル、ジングルベルと勢いをつけて坂を上がるのです。そんでもって、勢いをつけて、どさくさに紛れて年を越しちゃいましょう。
いっときますけれど、借金があるわけではありませんのよ。
