HOME

  my favorite…3   Yokohama

 

 今日はスペシャル版です。
 歳を経ると生まれ故郷が懐かしくなるということが、よく言われま
すけれど、これって、まったく真実だなぁ!と近年しきりに感慨を深
くしています。

 私は生まれも育ちもヨコハマです。
そして、私のなかではこれは「横浜」ではなくて、ヨコハマなのです。

 東京の西の端にある私の家から横浜へは、最短マニュアルわずか18
分で、その気になれば毎日だって行かれるのに、なかなかゆっくりと
行くチャンスがありません。

 横浜駅を経由することは多く、それは何故かというと、湘南方面に
親戚、知人、友人宅がたくさんあって、従って頻繁に東海道線と横須
賀線を利用するのですけれど、そのいずれの訪問先も、最高に居心地
が良くって、いつものことながら沈みつつあるお日様と競争で帰るは
めになって、駅の外に出る時間が皆無なのです。

 先週のこと、新幹線の切符を買うために、午後から横浜駅に行きま
した。用事といえば駅で切符を手に入れるだけ、まっすぐに帰れば、
3時には家に着いてしまいます。
 そこで思いきって、「みなとみらい線」の、家とは反対方向行きに
乗り込みました。
 このページにヨコハマのことを書こうと思いついて、それに載せる
写真を撮るためです。
 「日本大通り(これってすごい名前ですよね)」
で地下鉄を降りて地上に出ると、あたりは見事に紅葉していました。

 ヨコハマのお役人さんはなんとセンスがいいのでしょう。
 港近くのすべての街路樹は、思いのままに成長して、見事な容姿を
誇っています。

 いつも夏になって腹立たしく思うのは、東京の街路樹の剪定です。
もうちょっと育たせたら、真夏の暑さから炎天下を行く都民を癒して
もらえるのに、と思うほどばっさばっさと切り落としてしまい、あっ
という間にそっけない姿にしてしまいます。まあ、これには電線をよ
けるというれっきとした理由付けがあるのでしょうけれど。
 
 もうひとつ腹立たしく、これを思うにつけて、引き合いに思い浮か
べるのが、東京とヨコハマの地名です。

 東京は郷土愛のない無粋なお役人さんたちによって、たくさんの美
しい町名が抹殺されてしまいました。
 それと比べるとヨコハマは見事にそれを保存しています。
 ちょっと考えただけでも、桜木町、尾上町、馬車道、花園橋、紅葉
坂、翁町、老松町、黄金町、長者町……
 これを推察するに、東京は寄り合い所帯で、本当の東京人が、その
役職についていないから、従って、自分の住む土地に対する愛情が薄
いのではないかしら?

 ヨコハマに限らず、地方の都市には、同じような現象があるような
気がします。

 そして、港の近くの「関内」には、私が子供の時からあった、古い
歴史を誇る建物がまだ残っています。
 父の店のお向いの正金銀行は、神奈川県立博物館と看板を変えてし
まいましたけれど、荘厳な建物はそのままで、そこに立つと、この建
物の周りで兄と鬼ごっこをした想い出が蘇ってきます。
 
 改装される前のヨコハマスタジアムは、小学校の運動会が開かれた
場所でした。
 一年に1回の運動会の折、「スマック」というアイスクリームを食べ
るのが楽しみでした。森永製品だったような記憶があります。
 
 丸く薄い紙の筒をはがした時に現れる、パリパリのチョコレートを
落とさないように口に入れると、そのなかからとろりとしたバニラア
イスクリームが姿を現し、最高の幸せ気分を味わったものです。
 後年ナイターを見に行って、…こんな大きな場所でどうやってあの
運動会が開かれたのかしら?…と感慨しきりでした。

 私の小学校は横浜駅西口の丘の上にありました。
その当時は、西口の改札口の粗末な建物の脇が、これも粗末な相鉄線
のホームでした。
そして、駅を出ると、まん前はススキの生い茂った原っぱで、川が目
の前に横たわっていました。
 今、巨大な西口ロータリーの前に立った時、あの当時の風景がどう
やっても結びついてきません。

 それにつけても、ヨコハマ人には、なんともフレンドリーで開けっ
ぴろげな性格の人が多く、これは、さすが海に向かって扉を開いた自
由な街だなあと思います。
 もし、街に血液型を当てはめるならば、まさしく「何でもござれの
O型気質」です。
 だから小学校と高校のクラス会は、騒然とした雰囲気に包まれて、
これがなんとも言えず「おいしい」のです。
 
 余談ながら私の小学校の教育理念は「人のお世話にならぬよう、人
のお世話の出来るよう」でした。毎朝これを唱えさせられていたため
に、長じてのちも、皆とても良い意味でのおせっかいやき?!です。
 住まいが多摩川に近い丘の上にあった関係で、行動半径の50%が東
京だったにも拘らず、やっぱり私にとってのふるさとは、ヨコハマで
す。
 
 そして、多様化され、すっきりとした生活センスが身についている
東京の街も好きですが、出来ることならヨコハマに移り住みたいと、
いつも、叶わぬ夢を追い続けているわたくしなのでございます。

日本大通り

ヨコハマスタジアム

歩道の絵

元町

兄弟でお墓参りに行った日
の定番の満足感