日本に帰ってから、私の頭の中には、あのきらきらと光る子供の瞳が焼きついてしまいました。
 ひょっとすると、その頃の仕事であった女子高の授業から逃げ出す口実だったのかもしれません。
 そして、2回目にナガルコットの丘を登ったのは、1年後でした。
 その時は前触れもなく行ったため、あいにく学校がお休みで、子供たちには会えませんでしたが、先生の感触を確かめられたことが、私の少し自信のなかった気持を、一歩前に踏み出させました。
 前回訪ねた時にくらべ、学校は前のところからすこし奥まった段々畑の台地に引っ越して、眺望の開けた校舎からはヒマラヤがよく臨め、爽やかな初夏の風が頬をなでて、歓迎の挨拶をしてくれたように感じられました。
 
 生徒には会えなかったものの、持って行ったミニキーボードを、土に広げた筵の上に置いて、先生たちにドレミ……を教えられたのは収穫でした。
 勿論、前回の「チューリップ」の歌のおさらいも抜かりなく。
 
 実は1回目の訪問とこの時の間には、もうひとつの接点があるのです。
 日本からネパールに行く友人に、10ダースの鉛筆とポータブルラジカセを託してありました。
 これについては、ネパールに行くと多忙を極める彼女に、随分迷惑をかけたことと、いまだに身のちじむ思いですが、一方では、このチャンスがあったからこそ、今日に至るケントスクールとの交流が繋がっていったような気がします。
 そして、3回目……実はその後の記憶が前後してしまい、順を追ってご報告出来ないので、アットランダムに記憶の引き出しを開けていくことにします。
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先生にドレミ……を教える

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 2004.10.28 続きへ