中原区に唯一存在する里山です。
その昔、戦国時代には井田城という北条氏家臣のお城があったとされる井田山周辺、北麗を矢上川が流れ、東西は※谷戸が入り込んだ地形※ 谷戸 丘陵地の中で一段低くなった谷あいの土地であることを表わす地形の呼び名。神奈川県や東京都多摩地区で谷戸、谷と呼ばれる地名が多くありますが、現在は平地でも縄文時代ではそのような場所であった可能性が強く地盤調査などを実施すると谷合だった証拠がみれます。基礎地盤が斜めになっていたりすることが多かったり、数メートル違いで水が多く湧き出してりする現象がみられます。
現在は川崎市中原区南部の丘陵部で横浜市港北区の日吉、綱島に隣接し、川崎市立井田病院のとなりの多摩丘陵(多摩川がつくった丘)の東にいちする海抜約33m広さ約1ha(ヘクタール)の山。7つの区にある市民健康の森では一番小さな森です。
山の地形は谷戸と呼ばれる典型的なもので、斜面や頂上部にはクヌギ・コナラの雑木林とカシの森があり、ふもとには小川や池があり、様々な環境が入り混じった場所には多様な生きものが生息しています。渡り鳥の中継場所になっていたりと自然豊かな環境を体験できる中原区で唯一で最後の里山です。
健康の森指定までの経緯は、1988年に井田山東斜面にマンション開発に伴って「井田山の緑を守る会」が、1992年にマンション開発と西側の霊園計画に対して「井田山の自然を守る会」が「井田山の貴重な自然を
街作りに生かし 21世紀の子供たちに残す」という趣旨で発足しました。
買い上げと自然の保全を目指して4万人の署名で請願した結果です。その結果、一部の0.6haを川崎市で買い上げ、1997年に『井田山緑地保全地区』に指定されました。
2001年度の第一期工事が完成し、2001年9月2日に川崎市で初めての「中原区市民健康の森・井田山」がオープンしました。
この里山を守っているボランティアのグループは『中原区市民健康の森を育てる会』といい、自然とのふれあい、人とのふれあいを大切にする地元の町内会と公募で集まった約70名の会員が一緒になって保全活動しています。
会の活動は、井田山に住むたくさんの生きもの、鳥や水生動物などの自然観察、ドングリを育て苗をつくり森に植えること、山の斜面がくずれないように土を留めること、大きくなりすぎた木を切ること春の野草が元気に育つように林の下草を刈ること、森の中に道をつくったり野草を育てること、池や小川の水質検査、親子キャンプ(現在は休止中)、落ち葉かきなど年間を通じていろいろなイベントを行っております。できるかぎり自然のままを残すビオトープを形成し最低限の人力による保全活動を実施しております。
(文面は中原市民健康の森パンフレットより掲載)
〇川崎区 浮島町公園(愛称海風の森) 海風の森をMAZUつくる会 2.3ha
〇幸区 夢見ヶ崎公園(通称加瀬山) さいわい加瀬山の会 6.3ha
〇中原区 中原区市民健康の森・井田山 中原区市民健康の森を育てる会 1.0ha
〇高津区 たちばなふれあいの森 高津区市民健康の森を育てる会 7.3ha
〇宮前区 水沢の森 水沢森人の会 2.1ha
〇多摩区 日向山の森 日向山うるわし会 4.5ha
〇麻生区 麻生多摩美の森 麻生多摩美の森の会 1.2ha